小説

きらきらひかる


笑子と睦月は十日前に結婚した。
しかし、彼女たちの結婚はすごく奇妙。

笑子は精神病気味でアル中、睦月はホモで恋人がいる。
そんな二人は全てを許し合って結婚した、筈だったのだ。

セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは?
傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。


30年近く前に、この小説を書いていた著者は、やはり凄い。

生物学上の性では相容れることができない二人の、深く強く愛し合うがゆえの感情の揺れ。

愛してるからこそ優しい睦月。
愛されているのがわかっているけど、優しすぎる。
優しくなくていい。だらしない自分を怒って欲しい。
でも、そんな睦月を愛している。

ついひどい言い方をして彼を困らせる。
彼はさらに優しい。
そして、そんな自分に嫌悪する。


ピュアだからこそ残酷な負のスパイラル。


笑子の気持ちってどんな女性でもあるんじゃないかな。

別に特異な関係でなくても、一人のパートナーの優しいさに愛を感じ、物足りなさを感じ、憎み、苦しい。

その中でも少しづつ自分たちの愛の形を形作ってゆく。
愛の形、家族の形には正解はない。
突き詰めることは”自分たちが幸せであること”

その幸せの形を一生懸命追い求め、ぶつかり傷つきながら進んでいく強さを感じました。

江國香織、良き❤︎

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